Thursday, February 14, 2008

はてなが京都に移転:ドリコムが京都オフィスを閉鎖したときに思ったこと

変な会社で有名だったはてなが本社を再び京都に移転するとのこと。

株式会社はてな、本社を京都に移転、ものづくりの拠点を結集
hatena.jpg

理由は様々あるのでしょうが、とてもはてならしいと思いました。

前職で働いていたドリコムかつて京都が本社で、上場後の夏までにオフィスがありました。その時に私は京都のオフィスを引き払って、東京に拠点を統合することに対して反対したことがあります。(と言っても、そんなに強く反対したわけではなく、社長の内藤さん、当時取締役であった廣瀬さんに止めたほうがいいのでは、と意見を述べただけでしたが・・・)

理由は、京都にオフィスがあることこそが強みだと思ったからです。

ドリコムの創業期を支えた優秀なエンジニアの多くが、京大、立命館、同志社の出身でした。正直、関東だったらこれだけの人たちが集まらなかっただろうと思います。

また京都という東京に比べて機会が限られている場所だったからこそ、そのような人たちが一カ所にとどまり続けたのでしょう。(東京にくることで他社に転職してしまうということを心配したりもしましたが、それはあまりなくスタッフの愛社精神に驚かされました。)

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関西から優秀な学生が採用できていたのもそのような土台があったからこそで、このような環境は後から得ようとしてもなかなか得られるものではありません

ドリコムのその頃は、東京と京都がオフィスが分かれていたためコミュニケーションが営業と開発の間で十分にとれないという問題が生じていました。

そしてそのことが主な理由で本社が京都から東京に移されました。 

しかし、同じ場所にいるからそれが解消されるのか?というとそうとは限らないですし、また場所が離れているということが唯一の原因ではないような気がします。

dan kogaiさんが以前、暇を作れぬ奴に金はつくれないというエントリにてこのようなことを書かれていました。


「忙」というのは、「時間がない」のではない。文字通り「心が亡い」、すなわち配るだけの心がない、ということなのだ。(中略)
渋滞した道路のキャパシティは、全く同じ道路でも渋滞していない状態よりも低い。忙殺とは、そのような状態なことである。生産性を向上するというのは、倍
の時間をかけて倍生産することではない。これでは生産は拡大しても生産性は向上していない。生産性を上げるというのは、実は心の渋滞をなくすことなのだ

コミュニケーションがとれないという問題は、同じ場を共有していないからということだけではなく、この心を配るだけの余裕が持てないということが根本的な問題なのではないでしょうか。

もちろん、場を共有することによってこそ心を配る余裕が持ちやすくなるかもしれません。しかし例え同じ場所にいても、果たして本当の意味でコミュニケーションをとっていることになるのか

場所の問題よりも、そこには根深い問題が存在しているように思います。

次に働いている人の幸せ・満足度という問題があります。

東京で働くことで幸せになるのか?

もちろんそれを望む人もいるでしょう。東京ではイベントや勉強会などに参加する機会が圧倒的に増えます。一方で、
・家賃を含めた生活費が高い
・満員電車で通勤環境が悪い

・休日にくつろぐときは場所を選ぶ(人気スポットは人が多い)
・街がコンパクトじゃない(ムダも増える?)
などなど、といった問題も。

おそらくそういったことも認識した上での苦渋の選択だったのでしょうが、最近はやりの「しないことリスト」のように、あえてしないことを選ぶというのも勇気ある選択だと思うのです。

少し長々と書いてしまいましたが、はてなの移転という話をきいてそんなことを思い出したりしました。

個人的にはどんな僻地や、地の果てと言われるような国にいっても働くトラベルワーカーを目指していますので、その場でしか得られないことを大事にするという動きがもっと見直されてくるといいな、と思います。

それが東京やシリコンバレーのような人が集まる場所もあれば、京都、フィンランド、インドといった特徴のある場所でも起こってくることで、よりネット社会が豊穣なものになっていくのでしょう。
 

改めて近藤さんの「へんな会社」づくりに期待してみたいと思います。

「へんな会社」のつくり方

追記:いただいたコメントから考えてみたことを下記エントリで書いてみました。
はてなの京都移転でコミュニケーションについて考えてみた。
 

7 comments:

  1. はてな京都へ本社移転のプレスリリースに足りないもの

    【プレスリリース】株式会社はてな、本社を京都に移転、ものづくりの拠点を結集 - はてなプレスリリース - 機能変更、お知らせなど
    せっかくの重大ニュ...

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  2. はてなさん、お帰りなさい

    はてなが京都に本社を移すとのこと。
    立ち上げ当時は京都だったので戻ってくるわけだ。
    ...

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  3. 「はてな」は、京都の観光名所になる

    はてなが京都に移転してから5年後 「インクレディブー」(信じられない) 「アメージング!」(驚き 鼻血ビュー) 観光で訪れる外国人観光客からそんな声が漏...

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  4. 今、京都がアツいようですwwww

    はてブにおかれましては皆さん真面目に本社所在地について語られているようですが、もちろん私はそのような読み方はしません。 前職で働いていたドリコムもかつて...

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  5. はてなが京都に移転:ドリコムが京都オフィスと東京オフィスを統...

    元ドリコムの美谷さん(あすなろブロガー)が「はてなが京都に移転:ドリコムが京都オフィスを閉鎖したときに思ったこと」という記事を書かれています。はてなさんの...

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  6. はてなもドリコムも京都で生まれ、東京に出て行った(1)

    最近、はてなが京都に移転するという話で盛り上がっていますね。個人的にははてなにはあまり思い入れが無いのですが、僕もちょっとだけドリコム京都オフィスで働いて...

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  7. はてなもドリコムも京都で生まれ、東京に出て行った(2)

    さて、「はてなもドリコムも京都で生まれ、東京に出て行った(1) | 京の路」の続き。 まずは京都から東京に来たことのメリットを考えてみます。 京都オフィス...

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