Tuesday, June 11, 2013

ソニーがPS4の日本販売価格を発表しなかった理由

ついにPS4のデザインや価格がE3で発表されましたね。

「プレイステーション 4」 本体デザイン発表 希望小売価格 米国 399USドル、欧州 399ユーロ

この発表を受けて気になった人も多いと思いますが、日本での価格が発表されていないのが気になった人も多いかと思います。

ユーロの価格が割高なわけではない
アメリカでは399ドルなのだから、日本では為替が現在1ドル100円近辺で推移しているのだから39800円くらいになるだろうとか、欧州のユーロは現在の為替換算で52000円程になるので割高だと言われたりしていますが、そう単純な話ではありません。

ユーロの価格にはVAT(付加価値税)、日本での消費税に近い税金が価格に含まれています。国によってそのパーセントは異なるのですが、15%〜25%で平均して20%くらいです。最高税率25%が適用されるスウェーデンなんかだと399ユーロのうち1/4の約100ユーロ、13000円くらいが税金です。

なので税金を抜いたユーロの価格はやっぱりアメリカと同じ40000円ほどです。

一方、アメリカは州によって消費税があったりなかったり、また消費税率も異なり外税での希望小売価格となります。カルフォルニアでは大体8%くらいの税率なので、実際の支払額は430ドルくらい、43000円くらいになります。

そして日本での希望小売価格はPS3が税込となっているので、仮に米国と同じ40000円の定価に5%の消費税がのっかってくるとなると42000円が日本での希望小売価格となります。

Wii Uがどう動くか?
では、日本での希望小売価格は42000円と発表すればいいか?というと、40000円を切っていない数字はインパクトに欠けるので、3万円台の価格を打ち出してくることをソニーも考えていると思います。

また北米よりも任天堂が強い日本市場では、Wii Uがクリスマス商戦前に値下げをしてくることも考えられるため、他社の動向を見ながら日本での価格を考えたいという思惑もあると思います。

他社の価格改定を睨みながらもう少し後出しで日本での価格を打ち出したいというところでしょう。

加えてE3での発表がどのようなインパクトをアメリカ市場で与えるかを見極めてから、日本での価格を検討したいという意向もあったのかもしれません。

また米国の価格、日本の価格と分けて発表することで、日本での大きな話題を二回生み出すことができます。例えば東京ゲームショーで日本での価格を発表すれば、そのタイミングでより大きなニュースバリューを生み出すことができます。

今回、北米で$399という数字を打ち出したことはかなり良い反響で受け入れられたようですので日本でも強気な姿勢を打ち出してくるのではないかと期待しています。

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Sunday, June 9, 2013

楽天三木谷さん「大企業は人材が死んでいる」大企業になったIT業界のトップ企業

先月参加したInfinity Ventures Summit(IVS)のレポートをgihyo.jpで公開させて頂きました。


こちらの記事でも少し触れさせて頂きましたが、会場にいたからこそ感じ取れたこととして、楽天の三木谷社長と、フジテレビの亀山常務が参加したセッションにおいて、三木谷さんが「大企業は人材が死んでいる」と発言している時に、ふと横に座っている亀山さんに視線を動かすととても苦笑をしていたのが印象に残りました。

三木谷さんも特にフジテレビのことを指していったわけではなく、IT業界とそれ以外の古くからある産業全体を指しての発言だったのだろうと思います。

また亀山さんが苦笑したもの、痛いことを言われてしまったなという自虐的な笑いだったのか、大企業においても人はそれぞれ自分の置かれた立場で戦っているという想いからきたのか、彼がどんな想いを抱えての表情だったのかまでは分かりません。

そして亀山さんもこう考えて苦笑したのか分かりませんが、2007年から2011年まで楽天で働いていた筆者は、「楽天も十分大企業なんだけどな」と思いながら話を聴いていました。

気になったので後で調べてみると、楽天の社員数は単体で3,000人,連結で9,000人を超えています。対してフジテレビの社員数は1,400人ほどなんですよね。

数字の上では,楽天はフジテレビよりもよっぽど大企業です。

今回のIVS参加者の会社でいえばヤフーは従業員数3800人、GMOインターネットグループ,サイバーエージェント,グリーがそれぞれ約2,500人,DeNAが2,100人です。

もちろん、大企業病というのは会社の規模だけではなく、会社の歴史や組織体制、企業文化によって生じてくる部分も多いかと思います。

ただIT業界 = ベンチャー、そして大企業ではないというステレオタイプで描ける時代ではないくらいIT業界のトップ企業は変遷してきているのが実態です。

ライフネット生命次期社長の岩瀬さんが、「貞観政要」という唐代の帝王学を社長の出口さんの薦めで読まれているというブログを読み、貞観政要についての本を今読んでいるですが、この本は「創業と守成いずれが難きや」すなわち「創業と、それによって出来上がったものを維持して行くのと、どちらが難しいのか」について、特に後者について書かれています。

唐が建国という産みの苦しみの後、いかに大帝国を維持していくかについて書かれた本です。インターネットの世界では、まだまだ成長の機会が多いので、従業員規模が数千人を超える規模になったいまでも、まだまだ「創業」の時、外へ外とへと拡大していく時期にある一方、守成が必要な大企業へと着実に変化してきているとも言えます。

三木谷さんの発言や、それを聞いて横で苦笑している亀山さんを見て、そんなことをふと考えました。