こちらの記事でも少し触れさせて頂きましたが、会場にいたからこそ感じ取れたこととして、楽天の三木谷社長と、フジテレビの亀山常務が参加したセッションにおいて、三木谷さんが「大企業は人材が死んでいる」と発言している時に、ふと横に座っている亀山さんに視線を動かすととても苦笑をしていたのが印象に残りました。
三木谷さんも特にフジテレビのことを指していったわけではなく、IT業界とそれ以外の古くからある産業全体を指しての発言だったのだろうと思います。
また亀山さんが苦笑したもの、痛いことを言われてしまったなという自虐的な笑いだったのか、大企業においても人はそれぞれ自分の置かれた立場で戦っているという想いからきたのか、彼がどんな想いを抱えての表情だったのかまでは分かりません。
そして亀山さんもこう考えて苦笑したのか分かりませんが、2007年から2011年まで楽天で働いていた筆者は、「楽天も十分大企業なんだけどな」と思いながら話を聴いていました。
気になったので後で調べてみると、楽天の社員数は単体で3,000人,連結で9,000人を超えています。対してフジテレビの社員数は1,400人ほどなんですよね。
数字の上では,楽天はフジテレビよりもよっぽど大企業です。
今回のIVS参加者の会社でいえばヤフーは従業員数3800人、GMOインターネットグループ,サイバーエージェント,グリーがそれぞれ約2,500人,DeNAが2,100人です。
もちろん、大企業病というのは会社の規模だけではなく、会社の歴史や組織体制、企業文化によって生じてくる部分も多いかと思います。
ただIT業界 = ベンチャー、そして大企業ではないというステレオタイプで描ける時代ではないくらいIT業界のトップ企業は変遷してきているのが実態です。
ライフネット生命次期社長の岩瀬さんが、「貞観政要」という唐代の帝王学を社長の出口さんの薦めで読まれているというブログを読み、貞観政要についての本を今読んでいるですが、この本は「創業と守成いずれが難きや」すなわち「創業と、それによって出来上がったものを維持して行くのと、どちらが難しいのか」について、特に後者について書かれています。
唐が建国という産みの苦しみの後、いかに大帝国を維持していくかについて書かれた本です。インターネットの世界では、まだまだ成長の機会が多いので、従業員規模が数千人を超える規模になったいまでも、まだまだ「創業」の時、外へ外とへと拡大していく時期にある一方、守成が必要な大企業へと着実に変化してきているとも言えます。
三木谷さんの発言や、それを聞いて横で苦笑している亀山さんを見て、そんなことをふと考えました。
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