ソニーの新しい4Kテレビのラインナップと市場推定価格が報道されていましたね。
価格は55インチで50万円とのこと。
ソニーの4Kテレビ BRAVIA X9200Aは6月発売、55型 50万円・65型 75万円前後
50万円は高いのか?
いま発売中のソニーの4Kテレビは84インチで170万円程ですから、かなり思い切った価格を打ち出してきたという印象を受けました。
現在、4KではないHDの液晶テレビであれば55インチで安いものは10万円を切るようになってきていますので、5倍近い値段がするということになります。決して安い商品ではないですよね。
この4Kテレビの画質がどのくらい綺麗なのか先日ビックカメラでチェックしてきました。
4Kソースでないと真価が出ないのでしょうが、ものすごく鮮明な画像にうっとりとなりました。
生涯にじっくりと観れる映画は限られている。そのための極上の時間
50万円が安い価格ではないものの、この質であれば一定の市場がつくれるかもしれないと感じました。4Kの動画ソースが今後どれだけ充実してくるかも鍵となりますが、人が生涯にじっくりと観れる映画の本数は限られています。
その限られた機会を最上の画質で楽しみたいと考える人にとって4Kテレビは魅力的な商品です。
車を買うよりも安い商品ですし、老後10年という限られた時間の中で最高の画質で映画鑑賞を楽しみたい。そこまでいかなくとも一年に映画を数十本、数年の間で観る映画の時間をより充実したものにしたいと考える人は結構いるかも、と思いました。
自宅にシネマルームやプロジェクターを買ってしまうユーザーであれば50万円は届かない価格ではありませんし、アメリカや中東、中国の富裕層であれば問題にはならない価格だと思います。
ピュアオーディオの世界では高額オーディオ機器の市場が成立しているわけですから、テレビでも成立しうるでしょう。
また動画を楽しむだけでなく、一眼レフで撮影した高画質な写真を楽しむディスプレイとして使いたいというニーズもかなりあるかもしれません。カメラ本体やレンズを数十万円で購入する層がいるわけですから、その画質を楽しむ表示装置として50万円は許容できない価格ではないかも。
Huluなどの動画ストリーミングサービスでカジュアルに映画を観る市場がテレビ市場よりも大きくなるのは間違いないと思います。映画を自宅で観る人は今後、テレビで観る人よりもタブレットやスマホで観る人のほうが世界的にも圧倒的に多くなるとおもいます。
ただ好きな映画、名画を観る時間をできるだけ良い質にしたいと思うユーザーも一定数存在し続けるはずです。
下落する販売価格によるユーザーの買い控えにどう対処できるか?
そのためにこの4Kテレビ市場が成立するかどうかは4Kの動画ソースがどれだけ充実するかだけでなく、HD液晶テレビの価格下落で消費者が持った「今の販売価格」への不信感にどのようなアプローチで取り組んでいくのかにかかってくるのだと思います。
4Kテレビが今のHD液晶テレビ並の価格になれば当然、今のHD液晶テレビの市場を駆逐することになるわけですが、そうなるとHD液晶テレビの販売価格にどんどんと近づいていき一定の閾値を超えて値段が下がるまでは4Kテレビはごく一部にしか広がりません。
そこで、この商品が本当に欲しいと思う人にだけプレミア価格で商品を販売していくという高級オーディオがとっているのと同じプレミア価格戦略をとることもできます。
ただ今までのテレビ価格の急落をみてきたユーザーは、4Kテレビの価格も急落していくはずで安くなるまでは買い時ではないと考え、こうした高額商品が買える層においても買い控えが続くかもしれません。
価格下落はテレビだけでなく比較的プレミア価格を維持できてきた高級オーディオの世界でも見られますが、高級ヘッドホンなど高価格を維持できている分野もあります。
4Kテレビが高価格帯商品としてのプレミア市場を形成できるのか。
それとも価格がHD液晶テレビに限りなく近づいていく我慢比べの市場になっていくのか。
そうではなくアップルが行なってきた他よりも魅力的で高品質な商品を少し割高な価格で販売し、市場を形成していくリーダー的なポジションを目指すのか。
ソニーは4Kテレビ市場を利益貢献する市場として構築できるのか。
今後の4K市場への各社の取り組みが楽しみです。
追記:ソニーはテレビではなく映画体験装置として売るのがいいのかも
極論すると、ソニーはテレビをテレビとして売らないほうがいいかもしれないですね。テレビ放送を観るものとしてのテレビではなく映画を観るためのテレビ。ソニーの4Kテレビを買う人に、ソニー・ピクチャーズの4K画質の映画をもれなく無料でみれるというコンテンツ特典をバンドルして売ってしまったほうがいいのかも。