第二回オフラインnewsing「なぜ日本のニュースサイトはつまらいのか?」という面白そうなイベントに参加できなかったため、イベントの動画配信をみてみました。その内容を下記にメモしてみました。ちょっと雑なところもありますが、なかなか面白い内容でしたので、ご紹介したいと思います。
動画は下記から確認することができます。
第2回オフラインnewsing開催しました
参加者へのアンケート結果:
参加者のよく利用するニュースサイトは?
1位はYahoo!ニュース
2位はCNET
3位はnewsing
新規を定期購読をしているか
参加者ではNOが56%
1日に1回以上インターネットでニュースを閲覧するか?
一般は66.7% 参加者は89%
ゲスト
アメーバニュース編集責任者中川さん
・いかにアメブロの会員にブログのネタをだせるか?
・ユーザーにとっての遊び場であれるか?がテーマ
ライブドア執行役員メディア事業部長田端さん
・リクルートでR25の創刊にたずさわっていた
・ライブドアニュースは多くのニュース提供者からのニュースを配信している(404 Blog Not Foundなどのブログなども含まれている。いろいろなテイスト、質のニュースソースがいっしょくたになっている)
・いかに複数の、多くの視点を提供できるか?ユーザーに対して正しい論法を伝えようという上から目線ではなく、様々な意見を紹介してユーザーに判断を委ねるというスタンス
マイネットジャパン上原さん
・3月にnewsingをリニューアル
・UUは50万
・newsをピックアップする人と、読む人と二つの違ったユーザー層に大して分けた作りに。
運営するニュースサイトはどういう立ち位置だと思っていますか?
アメーバーニュース:世の中には立派なニュースサイトがあるので、立派なニュースサイトでなくていい。暇つぶしになれば。
newsing:80年代の日本。加工貿易国。newsをピックアップする人が世界中から資材を集めてコメントをつける人がいて加工されていく。原料に対してはお金ではなくトラフィックを戻していくという形。
ライブドアニュース:放送コード緩め。ヤフーがメジャーなのでそこに対してカウンターという位置付け。JCASTなどをいち早く配信をはじめた。ニュースをいろいろなところから仕入れているが、仕入れの目利きになろうということで、アジャイルメディアやその他のブログの記事をニュースとして配信することをいち早く行っている。亀田報道などでユーザーも、テレビ局等などメディアによって視点がかたよっているということへの理解が広がっている。
どういったユーザーが多いのか?
アメーバーニュース:ネットにそれ程なれていない人が多いのでは?
ライブドアニュース:普通のサイトよりは2chユーザーなどリテラシ高めのユーザーが多いのでは?それを前提としてサイト作りを行っている。著作権的にグレーな動画がYouTubeにあがっていたとしたら、リテラシの高い人はどうせググッて見てしまうので、ユーザーの利便性を考えると紹介したほうがいいのでは、という議論があったり。
newsing:ネット+ビジネスな人。エンジニアの集まり場はあったので、それ以外のビジネスよりの人が多かったのでは。最近ではニュース好きな人。
ウェブの特性をニュースサイトに活かすポイントは?
田端さん:リンクができる。常にソースへのリンクを貼れる。ソースへのリンクを張っているから、より自由な議論が展開できる面がある。
上原さん:コミュニティ。ユーザーが一緒になってニュースサイトがつくられている。顔の知らない人同士がひとつのコミュニティを形成している。サイトを閲覧している人もクリックしたアクションがサイトの内容に反映されている。
中川さん:娯楽の王様はテレビという前提。テレビ、Yahooトピックスの影響力はやはり大きい。巨大メディアのコバンザメになる。テレビCM広告費は2兆円を越えていて、ネットの広告費は3000億円。テレビを意識して、その影響力をうまく活用することを考えるのが大事。
上原さん:先にテレビで情報を知って、ネットでより詳しいことを知りたいという人が9割では。ただの残りの1割は、テレビよりもネットでこそ情報を探すという人がいて、この比率が着実に増えているのでは。
田端さん:このポイントがアメーバニュースとライブドアニュースが違うところかも。テレビではでてこない話題、ジャニーズ批判といったトピックが多かったりする。テレビはテレビの批判をしないが、ネットの中ではメディア批判があり、そういったものがライブドアニュースにはある。
コミュニティーの蛸壺化については?
上原さん:ネットはまだ新しいもの。タグ、AJAXなどトレンドの技術を使っていることが、ライトユーザーの温度感とはずれていることも。コミュニティーは一定期間がたつと必ず蛸壺化していくものでは?内輪化を防ぐには、コミュニティーの器を大きくする、場やカテゴリを増やしていく(2chでは板を増やすなど)ことが必要になってくるのでは?
理想だと思うニュースサイトのありかたは?
田端さん:理想はひとつではないと思うが、ニュースサイトがなぜ今までつまらなかったかというと、日本がこうだ、という風に日本をひとつの主語としてみていた。後期高齢者保険などは若者と高齢者では視点が違ってくる。著作権問題についても、どの立場にいるかによって意見が異なってくる。今までは配信チャンネルが多くできなかったので、そのような多様な紹介ができなかったが、ネットでは特定のユーザー層に対して特化したりユニバーサルでないことができる。そこをはっきり打ち出していくことがいいのでは?痛いニュースは誰が誰のためにやっているのかが明確。でも、痛いニュース自体の意見はださないで、情報をどう選択するかでサイトの特徴を出している。
上原さん:まったく同じ考え。後期高齢者の問題については両極端の意見の記事がピックアップされていて、極論と極論がユーザーによって加工されて日本で今話題となっている様々なトピックがユーザーによって集約されている。いかにユーザーを巻き込めるか。
中川さん:理想のニュースサイトはPVが高くて、読んだ人がクレームをしてこないこと(笑)
工夫していること、気をつけていることは?
中川さん:PVは当初よりも100倍以上になった。その結果あたまをそるという自体に。PVのみを追求してきた結果なので、今後はPVは落とす。アメーバニュースは3人しかいないので、今はいったんPVを落ち着かせた上で、今後穏やかな路線でみんなが幸せになれる方向で、水面下で粛々とやっていきます。
上原さん:newsingは他の人のふんどしをかりているサービスなので、どんな素材をユーザーが持ってくるのかと、どんなコメントがつけられるかが命。IDによって、ニュースをピックアップしたりコメントしている人の動き、newsingに関わっている人となりがわかるような作り、個性が立つようににしている。もうひとつはユーザーの声をきく、顔をあわせてお話をきく機会をつくるようにしている。
田端さん:細かいことを含めるとかなり多くのことがあるか、ライブドアニュースは外からニュースを買ってきて配信してきているので、そういったニュースは他でも配信されている。そこで差別化を図るために、どういう見せ方をするか(関連リンクなど)で付加価値をつけるようにしている。
最後に一言。
中川さん:記事いっぱい欲しいので、提供してくれる人ぜひ連絡をください(笑)
田端さん:同じく(笑)
上原さん:がんばります。
個人コメント:僕のブログであればどこでも載せて欲しいです(笑)。FPNのようにこれはニュースサイト向きかな?と思った記事を気軽に投稿したりできるといいんですけどね。
会場からの質問:
ニュースサイトのモラルハザードについて
上原さん:ニュースをピックアップする人がそのソースを嘘だとわかっていてピックアップするのはモラルハザード。そうでなく、その情報が正しいと思っての行動か、嘘だと思って行っているかが問題。
中川さん:PVだけのために誰かを傷つけること。
田端さん:PVのために、見出しを大げさに書くというのが常にある誘惑。硫化水素の問題も難しい。言論統制はやりたくないが、本人にも第三者にも迷惑がかかったりする。大きな話も小さな話もある。
ニュースサイトはこれからも広告モデルでしかビジネスモデルがないのか?
田端さん:広告モデルは目先がそうだが、ライブドアニュースもアフィリエイトを入れたり多様化していきたいと考えている。
上原さん:そうですね・・・大変ですね。もうかんないですよね(笑)。ウェブサービスの機能自体をOEMとして提供したりしている。他のサービスに対してnewsingからトラフィックを送客してそちらでマネタイズをしたり。
中川さん:ノウハウがかなり蓄積されてきたので、どうやったら成功するサイトが作れるのコンサルができるといいかも。
他によく読んだり、意識しているサイト
中川さん:デイリーポータルZ。あんなに伸び伸びとやれたら幸せですね。
上原さん:2chのニュー速。一般の人にとっつきやすいニュースサイトをつくっていきたい。
田端さん:ニュースサイトではなくRSSリーダーチェックすることが多いが・・。すごいなぁと思うのは痛いニュース。
今の媒体が既存のメディアを越えられる、勝てると思っているか?(新聞、テレビなど)
田端さん:ライブドアニュースかわからないが、ネットのニュースは自然に越えていくのではないか?
上原さん:ニュース配信メディアとして考えると長いスパンでみれば勝てると思うが、数年、数十年でみるとまだまだメディア企業に分があるかも。でもユーザー参加という点ではすでに買っていると思う。
中川さん:自由な立場で編集者ができているというんが何よりも幸せで、あまり他社のことを考えてはやっていない。
以上で、メモ終了です。UStreamは結構重たくて見るのがしんどかったです・・。光にしたいですが、今の古いマンションだと無理なので、どうするかが個人的な今後の課題ですね。
お話を伺っていて感じたのが今はニュースとなっていないものを、ニュースとして配信していくことが今後のマーケティング(情報の配信)の鍵となるかもしれないですね。最近では、漫画のストーリー展開をニュースにするというのがその例ですし(島耕作が社長の就任したというニュースや、美味しんぼで親子が和解など・・)楽天でいえば商品についてのブロガーのレビュー記事をいかにニュースとして加工したり、価値を持たせるようにすることができるか?とか。ブログの広がりによってニュースというフォーマットのあり方についても大きく変わってきているのだと思います。