前回のエントリで、newsing内で上原さんから頂いたコメント。
採用も広報も営業も組織も、プラス面マイナス面いずれも「近さ」は効果を増幅する。同じ場所にいる方がコミュニケーションを取りやすいが、よいコミュニ
ケーションが取れる戦略・施策を採っていないと逆効果にもなる。それは対外コミュニケーションでも同じ
確かにそういうことも言えるし今回のはてなの決断は私も概ね正しかったと思います。
一方で複数の拠点で分かれて開発することが難しいことは否定しませんが、一緒にすごす時間の長さや、物理的な距離の近さがコミュニケーションの質に比例するとは限らないのでは、と思っています。
オープンソースソフトウェアの開発や、オフショアでの開発などネットを活かすことで物理的な距離による制約が無視できるとまでは言いませんが、克服することは可能になっているような気がします。もしかしたら、そこには多少日本人と外国人のコミュニケーションに対する姿勢や考え方の違いがあるのかもしれません。
ニコニコ動画を開発された戀塚さんはSOHOで開発されたときいてますし、アメリカの小規模ベンチャーの37signalsのメンバは半数がシカゴですが、下記のようにニューヨークや、カリフォルニア州、バージニア州、アイダホ州、カナダのオンタリオ在住のメンバーもいます。
Who are 37signals?
Jason Fried, David Heinemeier Hansson, Ryan Singer and Sam Stephenson in Chicago, Matt Linderman in NYC, Mark Imbriaco in Chesapeake, Virginia, Jeremy Kemper in Pasadena, California, Jeffrey Hardy in Ontario, Canada, and Mr. Jamis Buck in Caldwell, Idaho.
ロスからニューヨークまで行くには飛行機で6時間ほどかかります。ロスからシカゴも4時間ほどかかります。アメリカ国内で他の都市に出張にいこうとすると半日から1日が移動でつぶれ、日帰り出張は到底無理です。
京都から東京までは新幹線で2時間半。日帰り出張も可能です。日本国内での移動は他国に比べてかなり恵まれていると思います。
海外の人は、
・そもそもコミュニケーションが100%通じるとは思っていない
・コミュニケーションが普段とれないからこそ、コミュニケーションの重要性を認識し、限られた機会に濃いコミュニケーションをとる
といった意識を持っている人が多いように思います。
対して日本人は(あまり一般論で語りたくはないのですが)
・日本語同士なら、コミュニケーションは伝わるものだと思っている
・口にしなくても、場を共にすれば相手に伝わるものがある
と考えている人が多いのではないでしょうか。
以前、イギリスのVodafoneに対してフランスの子会社を通じて、仕事の話をしていたことがあります。
フランス側からは
「大丈夫。ちゃんと話を通しておいたから。」といわれ、実際に訪問してみるとまったく話が伝わっておらず驚かされたということがありました。
同じヨーロッパでも、イギリス人とフランス人というふうに国も言葉が違えば、話も正確には伝わっていなかったりします。
シリコンバレーでもオフショアでの開発もあれば、人種の違う人も多く存在します。お互いの意思疎通が100%とれるということもなく、そこそこ伝わればそれOK。
そんな風にコミュニケーションに対しての割切りがあるようにも思います。
日本人が不幸なのが、同じ日本人だから話せば通じる、一緒にいれば通じると思っていることではないかと。
話したとしても相手に伝わるとは限りませんし、場を共にしていても伝わるとは限らないのが一般的な家族を例にとってもわかることです。
むしろ距離が離れているからこそコミュニケーションをすることの重要性を認識し、限られた機会にコミュニケーションをとろうと心がけるのではないか。
オープンソースのコミュニティーに参加している人が、普段他者とコミュニケーションがとれないからこそ、みんなが一同に会するカンファレンスに積極的に出席し、限られた時間を濃い有意義であるものにしようとしているのだと思います。また離れてはいてもネットでは絶えずコミュニティの動向を把握しようとし、自分の考えていることを伝えていこうとしているのではないでしょうか。
このようにして離れていても仕事を成立させ、コミュニケーションをとるための術をおのずと身につけている気がします。
一緒にすごした時間の長さや、物理的な距離の近さがコミュニケーションの質に比例するとは限らない。海外で離れた場所にいながらも仕事をこなしていく人をみてそんな風に思うのです。
一方で、そうではない近くにいることによってしか成立しないコミュニケーションの質もあるわけで、それがはてならしい新たなサービスに繋がれば、と思います。
余談ですが、楽天ではこんな動きが。
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