先日の土曜日、東大と読売新聞による情報社会と新聞、放送などがどのように変化していくのかを考えるシンポジウムがありましたので参加してきました。
東大情報学環・読売新聞共催 連続シンポジウム「情報の海〜漕ぎ出す船〜」
最初は立花隆氏による基調講演でした。以下は講演のメモです。
■情報大爆発
情報の大爆発が起きている
今までの人類の全ての印刷物のデータ量は200ペタバイト
全ての人類によって話された言葉を全てデータにしても5エクサバイト
今は毎年おきに数十エクサバイトずつ増えている
特にデータ転送の情報が爆発的に増えている
サーバー間でやり取りするデータ
人間が消費するデータよりもシステム消費系のデータが増加
ネットなど人が直接読んだりする情報よりも圧倒的にシステムが利用するための情報が増加
ほとんどあらゆるシステム、社会がコンピュータによって動いている
■各メディア別の情報量の割合
テレビから圧倒的にネットに
■情報消費の頭打ち
元情報・発信情報量は頭うち
情報消費量も頭うち
情報流通量が頭打ち
使える時間の限界
頭の処理能力の限界
マスメディアの影響力低下
選択可能情報量の0.6%のみがマスメディアから発信されたもの
■情報消費階層の分化が起こっている
負け組
入力過多でオーバーフロー
情報が多すぎて頭が真っ白に
■ヒットからニッチへ
巨大メディアによるヒットと少数のファンによるニッチ商品
みんなが見るから自分が好きだから見る
→ベストセラー的読書から個性的読書へ
活字メディアはナローキャスト
少数のコアファンで成り立つ
ロングテール現象
■後退を続ける古典的メディア
新聞が経営危機に
雑誌が立ち行かない
→ニッチマーケットで成り立っている出版は結構しぶとい
少数のファンがいれば成り立つ同人誌的世界
■Bloombergがニューヨークタイムズを買収するかも
Bloombergのビジネスモデルは月数十万で情報を買っている人が30万人いる
日本でも2万弱の顧客
あらゆるビジネスマーケット情報 瞬時に分析と取引
最高セキュリティーの相互通信
■なぜBloombergは1人勝ち?
ビジネスモデルが違う
金になる情報を金がある人に高額で売る
創始者はMorganスタンレーのディーラーだった
ディーラーの欲しがる情報が何でも入るものを
■読売新聞のデータサービス
明治から今までの読売新聞の全紙面が取り出せるデータベース
数百万円ほどの価格だが、明治から今日までの時代の捉えかたの違いがすぐに分かる
終戦の前後の変化を連続して読める
歴史の読み方が変わる
これを有効に使っている学者とそうではない学者と雲泥の差がつく
■情報リッチ階級と情報プア階級
情報格差は天と地
金持ちがよりリッチに
Bloombergでしか知り得ない情報など
情報飢餓から情報不安に
情報の海で溺死する人も
プアな情報装備でもリッチな生活がおくれるはず
■情報の海を航海するための能力
何を求めてどこにいくのか
目的設定が大事
自分の欠落部分を補うための情報
自分に付加価値をつけるための情報収集
情報獲得を通じて日々あたらしい自分に
ロングテールのヘッドは誰もが知っていること
テールの情報は少数の人しかしらない個性のでるところ
テールが差別化、個性に繫がる
自分の脳は自分で育てていく
情報の海を航海するための術、目的を持つことの大切さや、誰もが知っていたり話題になっている情報ばかりを追い求めるのではなく、テールに着目することの大切さなど示唆になるようなキーワードが出てきました。
Bloombergのビジネスモデルは、新聞業界に対するアンチテーゼですね。
大衆に数千円で数百万人で情報を届けることがビジネスモデルとなった時代から、数百万円で数千人のためにだけサービスをする時代になってきているのかもしれません。これが良いことかどうかは別として。
一方で、アフィリエイトや広告の用に数十万の人から、数十円ずつ集めるようなモデルも出てきていますが、これでは小規模の会社しか維持・運営できないかな、とも思います。
幅広い内容の講演でしたので情報の海の航海術についてより突っ込んだ情報を聴く事が出来ず残念でしたが良い刺激となりました。この後パネルディスカッションが行われました。
続く・・・かも。(Androidについて考えていることを先にブログに書くかもしれません)
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