Tuesday, August 5, 2008

iPhoneで変わる?モバイル広告の世界

iPhoneを使っていると、今までのモバイル広告の前提が通じないところが多々あるなと感じてきました。

iPhoneのシェアは今は微々たるものなのですが、二年程たったときにはもう少し大きな影響をモバイル広告市場に及ぼすようになるのかもしれません。

幾つか既存のモバイル広告の常識が通じないと感じたことを整理してみました。

iPhone用のアプリの広告効果が限定的
駅探やmixiがiPhone用のアプリを出しています。しかしバナーサイトが出せるモバイルサイトは違い、アプリにはユーザーの利便性などを考えたときに広告を挿入する上での制限が多く困難になりますし、バナーのサイズなどについても独自のものを想定せざるおえなさそうです。

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(駅探のアプリの画面) 

またモバイルサイトをメディアとしてクライアントに提示するときにひとつの指標となるのがPVですが、アプリ経由の通信はモバイルサイトのPV増加には貢献しません。アプリだけで機能が完結せず、サイトへのアクセスが必要となるサービスもあるためiPhone向けのアプリが必ずしもPVの減少に繫がるわけではありませんが、ユーザーの利便性とサイトの広告モデルをどう両立させるかについては今後iPhoneのシェアが大きくなったときには検討しなければいけないことになるかもしれません。

マクロな視点で考えたときにはiPhone向けアプリによりユーザー数を拡大し、ひいてはそれがモバイルサイト、PCサイトのPVの増加に繫がるという好循環が生まれる可能性があると思います。

iPhone向けサイトではテキスト広告が効かない? 
iPhoneのSafariで閲覧されるウェブサイトに表示されるAdSense広告などのテキスト広告はモバイルサイトはもちろんのこと、PCサイト以上にクリック率が低くなるのではないかと思われます。

モバイルサイトの場合はテキストをスクロールした際に必ず広告のテキスト上を通ることになるため、押し間違いを含め高いクリック率を見込むことができました。またPCサイトよりも配置されるリンクの数が相対的に少ないため、広告リンクへの一定のアクセスを見込むことができました。

しかしiPhoneのSafariブラウザ上では、画面全体に対するテキスト広告の面積がモバイルサイトよりも小さくなり、ユーザーにクリックを喚起させることが難しくなります。ユーザーは指を使って直感的に操作ができるため、モバイルサイトのように広告リンクを設置しておけば、必ずそのテキストが選択されるという待ち伏せが出来なくなりました。

またこれは検索エンジンのリスティング広告にも、多少はあてはまるのかもしれず、Googleなど各社が今後どのような対応を見せるのか気になるところです。

将来的にiPhoneを中心としたスマートフォンの割合が携帯市場の中で増えていったときには、バナー広告がより重要視されるようになるような気がします。

サイトにユーザーを囲い込む難しさ
多くのケータイ一般サイトが広告ビジネスモデルで成立しえた要因のひとつとして、携帯サイトではユーザーのトラフィックを逃しにくく、サイト内に滞在してもらいやすい構造を作りやすかったこともあるかと思います。

様々なところにリンクを配置でき、縦横自由にリンクが設置できるPCのサイトとは違い、モバイルサイト内での移動は基本的には縦方向のみであり、アクセスしているサイトから外部にリンクするサイトの数も限られます。

またPCのブラウザのように検索エンジン用の検索マドやタブブラウジングができないため、現在の開いたているサイトにとどまってもらいやすい制限が携帯サイトには残されていました。

しかしiPhoneのSafariではユーザーが複数のページを左右にフリックすることで切り替えることができます。

またiPhoneの画面はブラウザのためのものだけではなく、各アプリ、様々な機能によって共有されるためテレビのチャンネルを切り替えるのと同じように各アプリで画面が切換えられてしまいます。

複数のサービスに対して画面がひとつしないというのは一般の携帯でも同じなのですが、iPhoneでは各タスクの切換えが非常にスムーズに行えるためユーザーは通常の携帯サイト以上に気軽に携帯ブラウザから他のツールに離脱をしてしまいます。

ただ逆にいえば、ユーザーがより気軽にサイトにアクセスしやすくなったということでもありますのでユーザーのニーズをうまく満たすことができれば、iPhoneによってユーザーひとり当たりのアクセスをもっと増やすこともできそうです。

 
このようにiPhone上のアプリ、サイトを前提とした広告サービスと、既存のモバイルサイトを前提とした広告サービスでは大きな違いが他にもありそうです。今後どのような変化が広告業界に起きていくのか、数年の時間をかけての変化でしょうが、楽しみなところです。

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