インドのタタが2500ドルの最安値の自動車を販売することで話題になっています。
2500ドル車のnano
こちらの記事で面白いのが下記の部分です。
税抜き価格2500ドル(付加価値税込みだと約300ドル増し)は世界最安値だ。(中略)
販売方式も斬新だ。自転車と同じように、タタは材料・部品一式を出荷する。それを全国の請負会社が組み立てて消費者に販売し、修理点検も行う。(中略)最安の標準モデルは2500ドルだが、エアコン付きなど多数モデルが用意されており、価格は 最高で4000ドルとなる。それでも、現時点での世界最安車であるマルチ800(価格4810ドル)より低価格だ。
こうしてみてみると、
2500ドルはあくまでも税抜き価格。
そして、請負会社が介在するため、実際の販売価格には中間マージンが加味されたものとなる可能性があります。
また、エアコンなどのオプションを加えていくと、競合者であるマルチ800との差は
4000ドルと4810ドルの810ドル足らずになり、またこの4000ドルと4810ドルという数字も、上記の付加価値税や、販売マージンなどによりそのまま鵜呑みにすることはできません。
マルチ800の4810ドルが定価であっても現実には2割引きで売られていれば、3848ドルとなり、今回発表されたnanoの最高モデルよりも安いということになります。
しかしどういった形であれ一見無理と思える数字を実現したということにインパクトがあり、世界で一番安い商品というイメージが先行して消費者の間に広がっていくことには大変大きな効果があります。
ビジネスが目的ではなかったものの100ドルPCと呼ばれたOLPC(One Laptop per Child)プロジェクトのXOは2台で399ドルと実質200ドルほどで販売され、また199ドルPCとも呼ばれているASUSのEeePCも、米国で販売されたときには約300ドルであったり、WindowsXPが搭載されたとはいえ日本国内では49800円という価格で販売されています。(当初は5万円代と安かったMac miniもずいぶんと高くなってしまいました)
199ドルのLinux PC、米大手小売サイトに登場
どれも実際には提示された価格とは差があったり、またオプションや税金などを省いた実質とは異なる形での数字であったりするのですが、提示した数字をインパクトとしてユーザーの心に残すことに成功しています。
また一見無謀と思えるような数字を達成しようとする挑戦心こそ既存の手法では達成が難しい課題を実現していくためのイノベーションを起こしていくことに繋がっているのではないでしょうか。
タタの自動車の例であれば、商品の組み立てをアウトソースすることで、出荷コスト、販売コスト、人件費、設備投資費などを削減することで実現できた数字であるようにも思えます。
既存のやり方では実現できない数字を設定することでイノベーションを起こしていく。
今の日本で最も求められていることのひとつかもしれません。
個人的には、東京都近郊での1000万円新築マンションや500万円中古マンションといったものがあってもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?現代版長屋など、やり方次第では可能なような気もします。
日本では偽装問題などで、正しくない表記や誇張が厳しくみられるようになっていますが、一方で夢のある数字を掲げ、それを実現していくことは忘れて欲しくないと思っています。
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