Friday, June 26, 2009

マネタイズHacksで紹介されている取り組みがイマイチ。私が面白いと感じたマ ネタイズ手法

マネタイズHacksというネットサービスのマネタイズに関する記事があったので読んでみたのだけれど、イマイチで、あまり面白くなかったというのが正直な感想。

ネットサービスにお金を払ってもらうには mixiやpixiv、はてなの“手の内”

Hacksと銘うった割にはありきたりの事例が紹介されているだけで、これはマネタイズといえるのだろうか?というようなインパクトの小さな事例が多い。会場に実際に行ってみていないのだが岡田有花氏の取材記事でもあるし、現実にもそれほど目新しい話がなかったのではないだろうか。

特にマネタイズと言えるのか微妙と感じたのは、mixiの発表。mixiの都度課金は、重視をしているのは儲かるかどうかではない、と言っているけれど、それは儲かっていないことに対する方便なんじゃないかな?と感じる。

mixiの都度課金の事例はここで紹介されている年賀状サービスくらいしか広く認知されているものがまだなく、まだ成功するか未知数なサービス。まだ実験的な段階というところなのだろうけれど、マネタイズのhacksと銘打つには少し物足りなく感じる。

年賀状サービスもリアルであれば50円のところ48円からユーザーが送信できているわけで、これでは利益といっても微々たるものではないだろうか。

売り上げ的には70万人×48円で3500万近くても原価やコストを考えると利益は出ていないだろう。マーケティングやユーザーの活性化という意味では価値がある取り組みであると思うのだけれど、これをマネタイズの事例として上げるのは貧弱すぎるように思われる。

(追記:twitterで年賀状って98円じゃなかったけ?と指摘を頂きました。年賀状の価格は印刷代を含めて1通98円で、スポンサー広告つきの標準価格は48円。ということだったようです。そうすると、広告抜きで最大数千万円くらいの利益が発生している可能性はありますね。この内訳が気になるところ。参考記事:マイミクに送れる「ミクシィ年賀状」、サービス開始)

はてなの取り組みも評価されることだとは思うけれど、ストラップ限定50個限定で800円で完売したという事例も売り上げでいえばわずか4万円。

原価もかかっているし、これに関わった人の人件費を考えるとビジネスとしてははてなと感じてしまう。(うまいことをいいたかったわけではないですよ…)

ホットペッパーの広告一枠にも満たないような金額であり、マネタイズのhacksと言うにはどれも数字が小さすぎるのだ。

正直、利益ベースでいえば人気のある同人誌作家のほうがmixiの事例や、はてなの事例よりも遥かに多いだろう。企業のマネタイズ事例として考えるにはあまりにもスケールが小さすぎるし、広告以外の収益への模索は評価されるべきだけどhacksというには至らない昔からある手法でもある。

mixiの例でいえばユーザーがサービスに対して支払いする形だけでなく、例えばユーザーが有料会員になることで有料のコミュニティーを設立できるようにして、 ユーザーも収益が産み出せる形にすると面白いのではないか。

例えば、下記の記事ではヤフーの有料会員数が736万人と紹介されている。

無傷のヤフー、気がつけば広告の“覇者”、秘訣は既存媒体との共存《広告サバイバル》(3)

736万×346円で毎月27億近くもの収益が産み出されているわけだ。年間にすれば300億円以上。これこそがマネタイズだ。ヤフーの有料会員がこれだけ多い理由としてヤフーオークションの存在があげられるだろう。

ユーザーは不要品を処分することで会員費を払ってもそれ以上に利益が得られると考えるから、有料会員に登録する。この不景気で会員数の増加も好調なのではないかだろうか。

mixiでも上記のような取り組みを行うことで同様なことが可能なのだから、今のmixiはマネタイズに失敗している状態というのが正直なところの僕の感想。

 

ここで少し話が飛ぶのだけれど、僕がすごく面白いマネタイズ手法だな、と思ったもののひとつに旧ライブドアの中国への日本人の派遣事業がある。

ライブドアショックの1年前くらいにこんなサービスをライブドアでは行っていた。

・現地の中国人の給料相場の倍の報酬を払います
・中国への飛行機代、2年分の住居費を払います
・大連にある日本企業向けユーザーサポートセンターで仕事してね
・週の1/3は現地の学校で中国語の授業を受けられます
・1年経たずして日本に帰ったら、飛行機代や宿代は返してね
・中国での仕事が終わって日本に戻ってたら仕事を紹介します

細部は違うかもしれないけれど、大体こんな内容だった。中国インターンプログラムと銘打っていたように思う。

さて大連にあるユーザーサポートセンターでは、日本企業を始め各国向けのユーザーサポートのアウトソースを請け負っている。しかし日本語をはなせる中国人というのはそれなりに高キャリアであり、かなりな高コスト人材。

だから日本語を話せる中国人を雇うよりも、中国語を学びたい日本人を中国で日本人向けユーザサポート人材として雇ってしまうほうが安く抑えることが可能になるのだ。

確か、このプログラムで日本人に対して支払われる給与は月数千円というレベルのものでしかなかった。アウトソースの依頼先から受け取っている金額を考えると、相当な利益をあげることが可能だ。

また中国語を学びたいというモチベーションが高いパフォーマンスの高い人材を安価で得ることができる。こうして中国でもまれた人材が日本に戻ってきた時、ライブドアとしてはさらに収益のチャンスがうまれる。

中国で業務経験を積んだ、中国語が話せる人材として中国ビジネスに興味を寄せる各企業に高い手数料で人材紹介をすることができるのだ。

こうした目から鱗がでるようなビジネスの仕組みづくりがマネタイズであり、残念ながら記事の中で紹介されていたマネタイズの事例は、どれも通常のユーザー課金やその他の枠組みをあまり越えるものではないように思う。

損益分岐のラインを越えて、後はサービスをまわすだけで収益がどんどん増えていく仕組み。それこそがマネタイズといえるのだã
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2 comments:

  1. 数字が小さくみえる同意しますが、一番大事なのは「公開すること」ですよね。
    年賀状は一人数十枚送るものですよ。赤の使い方が故意的でmixiを叩きたいだけに見えるのが残念でした。
    中国インターンの話は面白かったのですが、第3回はユーザー課金についての回なので主催のライブドアさんも触れなかったのかと(もしくは赤字か)。

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  2. 第3回マネタイズHacksを開催したので裏側を紹介

    本編のまとめエントリに掲載する動画とかを作っているところなので、順番が前後しちゃうけど裏側を紹介。段取り8割、と言われるくらいに事前の準備が大事だなあと思...

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