Thursday, February 12, 2009

PPP(ペイパーポスト)広告はそんなに悪いのか?

Google JapanがCyber Buzzを使ったキャンペーン広告を展開したことにより、PPP(ペイパーポスト)広告に関する議論が高まっていますが、個人的にはPPP広告が悪いものであるとは考えていません。

PPP広告がウェブの検索結果に恣意的影響を与えるevilなものというのはグーグルとしての判断であって、PPP広告自体が良いものか、悪いものかという判断は各ユーザーで違っていていいと考えています。

グーグルのペナルティーをもらっても構わないというクライアントもいるでしょう。

個人的には数百円の報酬でほとんど意味のない記事が量産されるような形でのPPP広告はあまり好きではありません。

しかし、

・金銭的な報酬のかわりにイベントや、商品を提供する形の広告
・PPPではないが、特定のスポンサーから間接的に報酬を受けて書く記事(原稿料の支払いを含む)
・アフィリエイト目的のアフィリエイト記事といった、ブログの記事の執筆者がなんらかの形で報酬を受け取るサービス

これらと、PPP広告との線引きは曖昧としたものであると考えています。

例えば、「あるメーカーのプレス向け限定イベントに招待するから、イベントの記事を書いてね?」という依頼があった場合、そこで配布されるノベルティ(換金可能なものである可能性あり)など、非金銭的な報酬であっても、換金可能であったり、お金を受け取る以上に対価として作用する場合があります。

そこで得られる非金銭的な報酬で書かれる記事と、PPP広告の記事との線引きはあいまいですが、もちろんイコールでもありません。ネットユーザーに対する配慮や、より良いキャンペーンのあり方は考えられるべきでしょう。

 PPP広告はグーグルによるペナルティーがありえることを考えると、あまり割のあわない広告であるが、マーケティング手法のひとつとしての選択肢のひとつであると個人的に考えています。

それを選択するのが広告主として賢いことであるかどうか、あるいは、ユーザーの反感を生み出すか、生み出さないかは取り組み方にもよると思いますし、当然今回のグーグルのように、それがマーケティング手法としてあまり適したものではない企業もあると思いますが、依然としてそれを選択するかどうかは広告主の判断にまかされていると思っています。

グーグルがPPP広告を嫌うのは、それが特定のキーワードによる検索結果に影響を与えてしまうことで、検索ランキングの信頼度が低下してしまうと、同じくキーワード検索により収入を生み出しているAdWordsに悪影響になってしまうからに他なりません。

 彼らのビジネスを脅かしかねない脅威だからこそ厳しく対処しているのであり、PPP広告自体が悪いというわけではないでしょう。

自分たちの金の卵を産みだす鶏を汚されたくないわけです。

ネットに価値のないコンテンツを撒き散らす要因になるという指摘もありますが、PPP広告でなくともスパムブログは氾濫しており、PPP広告だけを問題視するのは間違っているのではないかと思います。

CyberBuzzさんが今回の件で以下のような声明を出されていますが、
2009年2月10日付、当社サービス「CyberBuzz」に対する一部報道について

ここでは、CyberBuzzが

「CyberBuzz」がペイパーポスト(Pay Per Post)のブログマーケティングであると報じられておりますが、弊社は「CyberBuzz」登録会員ブロガーへの記事掲載に対する対価として金銭の支払いは推奨しない、かつ、サイトの順位やPageRankを上げることを目的とした有料リンクプログラムの提供は行わないというポリシーをもとに運営しております。

 というふうにCypberBuzzがPPPでないように主張するのにも少し違和感を感じます。

対価として金銭の支払いは推奨しない≠ 金銭の支払いを行っていない

わけですし、

登録会員ブロガーに対して例外として金銭の提供が発生するケースは、イベントご参加時の「交通費」および、ブログパーツや動画など、一定期間ブログへ掲載する時の「広告掲載費」のみであり、

 広告掲載費等の名目で記事執筆への直接的な報酬ではなくても金銭の支払いは行われているようです。

どのようなあり方が広告主、ブロガー、読者にとってよりよい形であるかが考えられるべきでしょうが、PPP広告を否定してしまうのもナンセンスだと思っています。

※少し後で推敲するかもしれません。

追記: CyberBuzzのサービスは面白い試みということでウォッチさせて頂いていますし、気になる会社のひとつです。ただ自分たちのサービスが否定的にとらえられるのを気にしすぎていて、結果として方針が不透明に見えてしまいクライアント、ユーザーからの信頼を失ってしまうのではないかと懸念しています。

2 comments:

  1. ROCAさん>
    コメントありがとうございます。
    まずPPP広告の中でも、
    ・広告であると明示しているもの
    ・広告でないと明示していないもの
    があると思います。
    PPP広告の定義は?となると、人によって少しブレがあるのですが、http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/02/06/2496 この記事でPPP広告と想定されているものであろうものを前提に書いています。
    ですので、「PPP広告=広告と明示していない広告である」とはとらえていません。
    では、PPP広告は明示すべきかどうかについてですが、私は必ず明示すべきとは考えていません。望ましい、とは思います。
    というのはそれが、広告であろうと広告でなかろうと(例えば新聞の報道記事であったり)ヤラセ的なものや、事実を曲解したり、事実と異なることを書くのは許されないことであろうと考えるからです。
    広告であると明示することがそのことを完全に防ぐとは個人的には考えていません。すうすることがひとつの手立てにはなりえるかもしれませんが、それ以上に掲載内容や、掲載されるブログの選定、広告商品の内容などをどう精査、審査しているかのほうが重要であると考えています。
    また報酬をもらうことが、やらせ記事に繋がり易い面もあるかもしれませんが、やらせではなく、記事を書いた本人の感想であることも否定できません。
    ここは性善説でとらえるのか、性悪説でとらえるのかによっても判断や解釈が分かれてくるところだろうとは思います。
    報酬金額が数十円のものと、数千円、数万円のものを同じものとし考えるのも限界があるとは思いますし、性質が変わってくると思います。
    (いわゆる数十円程度で、SEO対策というお題目で販売されているようなPPP広告には私も否定的です。)
    ステルスマーケティングという意味でのPPP広告については私も「悪」であると考えています。
    ただ、広告と明示していないからステルスマーケティングという風には必ずしも断言できないのではないかとも思います。
    例としては書評をかいてもらうために、希望者にブログ記事執筆を条件に100冊の本を献本した場合、などです。

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  2. そういう意味では私は性悪説を採っていると言えるのでしょう。
    既に現時点では性善説で運用されておりそれは既にノイズやオーバーリードとして無視できない面が多いと考えています。
    だから規制したいとも思わないのですが、ルールと言うより厳しい「マナー」や「自覚」が必要では思っています。
    PPPでも個人の感想を含む自由意志かも知れないという意見は面白いですね。
    ただその場合でも利用者保護を優先するという立場からは、たとえ自由意志を含むのだとしても金品授与が発生している限りは厳しく広告と明示すべきだとも思います。それが利用者に対しても等しくフェアであると思うからです。

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