Tuesday, May 19, 2009

Kindle2を使ってみたら紙の本はしばらくなくならないかも?と思った

紙の本が100%亡くなると断言できる、たった一つの理由

ですよねー。僕もずっとそう思っていました。Kindle2を購入して使ってみるまでは。

紙の本は場所を取るし、引っ越しの度に本をどうするか頭を悩ませるのはもうんざり。早く電子化してくれよ、とずっと思っていました。

そこで2月から3ヶ月近くアメリカに出張する機会があり、そこでKindle2を買ってみました。

Kindle2が届きました:パッケージにすごく力が入っていました。

画面が本当に奇麗で、アメリカの紙質の悪い表面がデコボコした本の文字よりも読みやすいと感動したものです。

■Kindle2にはない、どこまでその本を読んだかという視覚的感覚 

でも、1ヶ月後にほとんどKindle2に触っていない自分に気づいたんですよね。

なぜだろう?と考えてみたところKindle2では本を読んでいるという達成感が感じられなかったんです。 

何ページよんでも、デジタル上のページの数字の表記が変わるだけ。

ページをめくっていくことで、「もう半分まで読んだかな?」とか「そろそろ終盤かな?」という達成感が一切ありません。

この感覚はKindle2を使ってみた後もしばらく気づくことがなく、数週間にわたって、「どうしてKidnle2はこれだけ魅力的なのに、あまり触ろうと思わないんだろう?」と自問自答しながらようやく気づきました。

頭ではこれが正しいと分かっていても、なぜか生理的に受け付けないという不思議な感覚。

例えるなら、すごく美味しい味のするステーキを食べているけれど、目に見えるのはとても奇麗に印刷されたカラープリントという感覚です。 気持ちいいはずという自覚があるのに、気持ちよくないという違和感。

また紙の本だと読み切らないと荷物になってしまうので、「今日はがんばって読み切ろう」と終わり近くまできた栞を見て思ったりするのですが、どんなに読もうと、読まなかろうと物理的スペースをとらないKindleでは良くも悪くもそのようなことを考えることはなく、いつでも読めるから、と考えてしまうので放置することが多くなってしまいます。

いつでもどこでも読めるから、逆に読まなくなるという矛盾。たまった本を(完読して)片付けてしまおうということがなくなります。 読みかけであっても一切気ににならないので。

さらに小説なんかだと、このページをどれだけめくった感がないというのが致命的で、紙の本だと今まで読んだページ数から、「そろそろ何か事件が起こるかな?」とか「読み終わるまでに残り数十ページしかないけど、どんなふうに結末を迎えるだろう」と考える要素が、電子書籍では大きく抜け落ちてしまいます。

紙の本でわかる、どれだけ読んだかという視覚や触覚から得られる情報が、文字にはない補足情報として本を楽しむ上で一定の意味や価値があるんだな、と初めて気づかされました。

その本がどのくらいのボリュームがあるのか(本の厚さ)、そのページは本全体の中で相対的にどの位置にあるのかという情報が思った以上に重要なんです。

Kindleだとページをめくっても、めくってもエンドレスでいつがゴールか分からないマラソンをしているような気分になります。(デジタルはほぼ無限で、アナログは有限というのを感覚的に体験するわけです)紙の本だと、残りページ数の厚みの変化が読む上で視覚的・触覚的な励みになりますが、ディスプレイ上の下に小さく表示されている数値が変化してもねぇ…。

既に読んだ本なら関係ないんですけどね。青空文庫がタダで読めるのに、あまり読み切る本がないのもこれが原因のひとつかもしれません。 

■電子書籍はコストパフォーマンスまだ悪いよね。

マーケットプレイスの威力は絶大で、アメリカではちょっと昔の本ならかなり安く購入できてしまいます。DVDとかも旧作なら5ドル以下で大体買えてしまうので、値段に大差がないオンライン動画を購入するのがばかばかしくなります。レンタルビデオもここまで中古が安くて手軽に探せるといらない感じ。

中古で買って、あきたらまた売れば購入した金額の半分以下で出費をすませることもできますしね。

紙の本も同じような状況が起きていて新刊が30ドルくらいのものが中古なら10数ドルだったり、ちょっと前のベストセラーなら在庫がありあまっていて1ドル代だったり。

というわけで他ならぬアマゾン自身のマーケットプレイスがKindle2普及の妨げになるんじゃないかな、と思っています。まぁ、そうした矛盾がある中、電子書籍の普及に果敢に挑むアマゾンは素敵です。

Kindle2の本体価格が100ドル代に下がってきたらまた状況が変わると思いますが、紙の本がなくなるまではもう少し時間がかかるんじゃないかな。 

 

追記:紙で買った本にデジタルデータをDLする権利もついてくると素敵なんじゃないかな、と思いました。アメリカの辞書でCD-ROMをセットで販売しているものがあったりしましたが、スラムダンク全巻とかはデジタルでいつでも読めると嬉しいなぁ。 アマゾンなら購買データを持っているのでセット割とかできそう。

4 comments:

  1. どこかで誰かが言っていたね
    >紙の本でわかる、どれだけ読んだかという視覚や触覚から得られる情報が、文字にはない補足情報として本を楽しむ上で一定の意味や価値があるんだな、と初めて気づかされました。

    ReplyDelete
  2. 紙がなくなるかどうかはドラえもんに聞いてみれば良い。

    紙が電子媒体に置き換わるってのは、流れとしては確かにそうなんだろうと思う。社内吊りの広告を見ていてそう思った。交通広告の一部は既に置き換わっているわけで。...

    ReplyDelete
  3. 読書の新しいカタチ?

     Bond BBT大学院大学MBAコースのMarketingの平久保先生が、Kindle2の簡単な紹介を先日のセミナーでされていて、自分も早くほしいなぁと...

    ReplyDelete
  4. 紙の本が消える日が来る!!

    紙の本が消える日が来る。 私の書斎から紙の本が消える日が。 Twitterでもつぶやいたが、先日スキャンスナップと裁断機を購入した。 FUJITSU S...

    ReplyDelete