Thursday, December 13, 2007

まつもとゆきひろさんの講演メモ:Rubyと楽天

だいぶ時間がたってのエントリになってしまいましたが、先月行われた楽天テクノロジーカンファレンスにスタッフとして参加していました。

その時に、まつもとゆきひろさんの講演をメモしていましたので、ここで紹介したいと思います。

 講演タイトルはRubyと楽天です。

なぜ楽天技術研究所のフェローになったのか?
Rubyも楽天も日本生まれ。
楽天はECで地方の人を支援している:楽天を使って地方から商売ができる。
まつもとさんが働いているNaClも地方で頑張っている会社
楽天のロゴも偶然、Rubyを思わせるような真っ赤なRが入っている(笑)

楽天とRubyとの間でいろいろと補完関係があることに気づいた。
まつもとさん:
・言語デザインのノウハウ
・オープンソース業界のコミュニティー
・分散開発の経験
を持っている

Rubyと私(まつもとさん)たちにないもの
・お金
・人的リソース
・スケールノウハウ
・データとノウハウ
本番システム、大規模システムでRubyは動くの?
それには実証、実地データが必要 
 楽天なら毎秒数百アクセスの実証ができるし、今までそれをPHPとJavaで行ってきたノウハウがある

楽天との取組みで行っていること
スケーラブルストレージ(コードネーム:Roma)と
マルチタスクハンドリング(コードネーム:Fairy)

Roma:スケーラブルストレージについて
 CPUはどんどん速くなっているがディスクのシーク速度があがっていない
 ディスクとCPU間のバスの速度が速くなっていない
 ネットワークの速度がバスの速度より速くなっている
 →ディスクがボトルネックになっている

メモリにデータを保持させたほうが速いんじゃないか?
 このアイディアを信頼性、汎用性という点から研究

Fairy:マルチタスクハンドリングについて
 マルチタスクの難しさ(リソース結合、デッドロック)

こんなタスクモデルを提示したい
 なんでもできるわけじゃないんだけれどもっと分かりやすいものをつくりたい
 データ処理をタスクに分けて処理する

楽天で感じたこと
・一般に技術の楽天というイメージを持っている人はほとんどいなかった
・実際は知られざる技術指向
→自分たちのサービスは自分たちでつくるというポリシー
一方で必要なものは買ってくるという割り切りも持ってい

楽天発の技術で、世界、オープンソースに貢献できれば

こういったお話がありましたが、まつもとさんの講演は満員で大盛況でした。個人的にもRuby on RailsをつくったDHHさんの会社37signalsの書籍、Getting Realの日本語翻訳のお手伝いをしたり、前職でRubyのコンテストに関わったりしていましたので、今後Rubyを使って上記のプロジェクトがどのような成果を生み出していくのかとても楽しみにしています。

ソフトウェアの世界で、日本から世界へ、という動きがさらに活発になってくるといいですね。

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