ウェブサービスのひとつ指標とされてきたPVという概念ですが、AJAXなどの登場によってその位置づけが大きく揺らいできていました。そしてここにきてtwitterによってさらにそれが進むのではないかと思っています。
twitterというサービスほどPVという概念が当てはまらないサービスはないでしょう。
過去のtwitterへの投稿を遡って読もうとするとAJAXでページを遷移せずにデータを読み込んできてしまうのでPVの変化は発生しません。
新着の投稿を確認するためにページを再読み込みすればPVは発生します。しかし上記のような過去の記事を遡って読む場合だけでなく、iPhoneなどを中心にtwitterクライアントという第三者が提供しているウェブサービスを通してtwitterを利用していて閲覧される場合もPVが発生しません。
ブログでもRSSで記事を閲覧している人がいると、RSS上での閲覧は元のブログサービスのPVとしてカウントはされないのですが、RSS以上に多くの比率でtwitterクライアント経由でtwitterを楽しんでいる人が多いのではないというのが実感です。(具体的な数値データがなくて恐縮ですが…)
twitterはページという入れ物にコンテンツ(tweetという140文字以内の短文)が掲載されているサービスではなく、人のネットワークを通してtweet自身がReTweetという形で転載され、twitter内やtwitterクライアント、FiendFeedなど他社のサービスを通じて流通していくサービスです。
そのtwitterの影響力をはかるうえで、PVというのは今までのサービス以上に不似合いなものになってきていると思います。
ここで少し話題が変わりますが、サイバーエージェントの藤田社長がアメブロが月間100億PVを達成したことをブログで報告したことが大きな話題となりました。
これに対して、この数値がNetRatingsなどリサーチ会社などによって公開されている数値と大きく異なっていることもあり、かなり反発をまねいたようです。
アメブロのPV水増し度は"4倍"とGoogleの媒体データが証明!?グーグルアドプランナーは凄い!
アメーバブログが100億PV達成したらしいので祝辞を述べます
PVを計測するさい、どこまでをPVとして計上するべきか?クローラーの数値などをどのように判断するべきかということに関しては正式な見解があるわけではありません。
社内、社外の目標としてアメブロが掲げた数値を達成したということは非常に意義があることですし、確かにアメブロの成長には目を見張るものがあります。
ただブログやtwitterなどの情報メディアが果たしてPVを指標としてよいものなのか?それをtwitterで流れていくtweetをみている中で今いちど強く感じたりしました
PVはPage Viewの略であり、そのまま文字どおりに解釈すればベージがどれだけ見られたという数値です。しかしサーチエンジンなどクローラーの数値が含まれているというのはやはり不自然でしょう。
PVに明確な定義がない以上仕方がないことかもしれません。しかしネットサービスを運営しており、さらに広告事業を主体としているサイバーエージェントとしては、自分たちのサービスをどれだけ大きく見せるかということに焦点をおいた膨らませた数値を取り上げていくことよりも、クライアント、ユーザー双方にとってより誤解の少ない数値を伝え、浸透させていくことに努力するべきではないかと思います。
ちょうどハーバードMBA留学記というネットライフの岩瀬さんが書かれた本の中でコンプライアンスに関わる部分を読んでいたところでもあり、企業がどのように志を持って経営を行っていくべきかについて考えてもいました。
サイバーエージェントが表に出しているPVの数値は業界の中から疑問の声があがっている分かりにくくあやふやなものです。
それが間違っているわけではないにしても、ネット業界を牽引していくべきプレイヤーとしては、より多くの人から指標とすることに共感を得られるような数値を提示していくべきでしょう。
広告業を生業としている中で100億PVの内容を広告主に対して明らかにしていくことが企業の倫理観として重用視されるべきではないかと思うのですが…(でもメディア一般には押し紙や、公称○万部という上げ底で数値をみせることが残念ながら恒常化してしまってもいますね)
少なくともPVという指標の計測に明確な方法がないということであれば、クローラー経由のアクセスは計上されているPVの中にどれだけあるのか?ということを公開するだけでもよいのではないでしょうか。
こうした透明性のある数値を出していくことがネット業界、広告業界のより健全な発展にも繋がっていくはずです。
そんなことを考えたりもしながら、行き着くのは「やっぱりPVってどうなのよ?」ということですね。
視聴率という呪縛にとらわれてしまった放送業界の短点を同じように辿っていくのではなく、PV以外の指標に目を向けたり、PVを構成する要素(PVのうちに占めるクローラーなどボットの比率)を明らかにしていくことが大事なのではないかと思っています。
細かい話をすれば、どのボットまでをクローラーと判断するべきかといった話になっていきますが、Google、baidu、Yahoo等の主要なボットによるものがどれだけ含まれているのかを公表するだけでも有意義ではないかと思います。
でないと、ユーザーが実際に閲覧しているだろうと思われるPV数とボットを含めたPV数との乖離がどんどん開いていき、PVという指標がさらに意味のない数値になっていくような気がします。(乖離が進めば進む程、実態は明らかにしにくくなるでしょう)
あと、単純にtwitterをみていると「ゲームのルールが変わってきているな」とも。
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