TBSが4月に大改編を行いましたが、その結果がおもわしくないようです。
その理由を僕なりにいくつか考えてみました。
テレビ局に直接勤務した経験はありませんが、過去にテレビ局の携帯サイトの開発や運用、キー局の朝のニュース番組内のミニコーナーの編集、CS放送の番組の編集を行っていたことがあります。就職活動の時にお世話になったこともあり、日頃気になっている業界のひとつです。
その1:報道番組はひとつでいい
TBSは今回の改編で報道や情報番組に力を入れた編成になっています。特に報道番組は17:50から2時間を目玉であるニュースを持ってきています。
この時間から家に帰宅してニュースをみることのできる社会人はそれほど多くはないのでしょうが、今後団塊の世代で定年を迎えるひとが増えてくるため、TBSとしてはこの時間へのニュースのニーズが高いとみたのかもしれません。
さて、報道番組を視聴者がどのくらい見ているか分かりませんが、1日みるテレビの番組が全てニュースという人は少ないでしょう。
ニュースだけでなくドラマやバラエティーなど様々なジャンルを楽しみたいと考えるでしょうし、そうなるとニュースのためにさこうという時間は無意識でもおのずと限られてきます。
また情報番組は報道ではありませんが、時事ネタを多く扱うことから内容としては一部報道の延長であるといえます。
TBSの編成の中で、報道・情報番組の比率が高くなったことで、ジャンルとしての重なりが増えてしまったこと。そして他局の報道番組との競争もあり、そもそも視聴時間のマインド比率が限られていたこの分野に過剰に番組を提供してしまうことになったのではないかと思います。
その2:報道・情報番組はハイビジョンに向いていない
まだ当分はアナログテレビで、と考えている人も多いでしょうが、大画面の液晶、プラズマテレビでハイビジョンで視聴している人も確実に増えてきています。
せっかくの高画質のテレビですから、できればその画質の良さを体感できる番組をみてみたいものです。映画やドラマ、TBSなら『世界遺産』といった番組などがそれにあたりますね。
反面、報道・情報番組は画質が良くなってもそれほど感動が得られないのではないでしょうか。アナウンサーの表情が奇麗にみれるようになって嬉しいということはあるかもしれませんが…。
その3:報道・情報番組は広がらない
報道というコンテンツはテレビ以外と連携がしにくいコンテンツです。そのため話題づくりのために、他媒体との連動が難しくなります。
Web、携帯コンテンツとの連動が難しくドラマでみられるような映画化、小説化といった展開ができません。
ドラマであれば番宣や、事前のメイキングなど派生して番組やコンテンツを生み出せますが、報道や生放送主体の情報番組ではそれが難しくなります。
また視聴率とは関係ありませんが、DVD販売や、番組販売、マーチャンダイジングによる収益の多様化も望めません。
番外編:報道はネットに勝てない
今回改編が行われた時間帯が日中、夕方でありネットのヘビーユーザーがテレビをよく視聴する時間帯と重なっていないため、これが今回の視聴率不振へ大きく影響を与えているとは思えません。
ただ長期的にみて、報道はネットに勝てないコンテンツであり、テレビとしての強みを生かしやすいのは、ドラマやドキュメンタリー、バラエティーではないかと思っています。
ネットのほうが即時性や、報道の情報量、多層性に勝っておりテレビの強みがいかせる部分がすくなっています。映像という強みはテレビにありますが、そうした報道素材はすぐに動画共有サイトにアップされてしまうんですよね。
Yahoo!などで公式のニュースクリップもあり、ニュース番組をみずともすんでしまいます。
ドラマやバラエティーのほうが観たいコンテンツの尺が長いぶん、動画共有サイトには流れにくくなっています。
報道でも2chのコメントの中で書かれていた「地方発のニュース素材を集めて全国に届ける」といった「さんまのからくりTV」のようなテレビならではの番組づくりが行われれば、また状況は変わってくるかもしれません。
テレビ局の不振が伝えられていますが、無料で視聴できる番組の質が低下するのはユーザーとしては損することはあっても得はしないので、良い番組が増えてくれれば…と思います。
地方局が切磋琢磨してもっと全国ネットで放送する機会が増えれば、もっと面白い番組も増えてくるかも。雇用機会や優秀な人材も地方に分散しますしね。
テレビってあまり見ない時代
ReplyDelete美谷さんのエントリーにTB。理由を色々と挙げられているのですが、私的には番外編が...