Monday, April 7, 2008

キャズムを超えることを考えて欲しい。ソニーの無料IPテレビbranco

インテルのブロガーMTGに続いてソニーの無料IPテレビ、brancoのブロガーMTGに行ってきました。4月はイベントが多いですね・・・。

まずはbrancoというのがそもそもなんなのかをご存知ない方も多いと思いますので簡単にご紹介したいと思います。 

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このbrancoというサービスですが、どういうサービスかといえば
国内初の無料IPテレビサービス
検索をするのではなくテレビをつける感覚ですぐに始まるサービス
6つのチャンネルでスタート
DVDソフトクラスの高画質映像を実現

さらに、
映像をみながらチャットでコミュニケーションを撮れる
但しチャットルームは入室は15名まで、閲覧は無制限
PPoSという新技術による広告システム
プログラム配信中でも一部の動画CMを視聴者ごとに異なる動画CMに差し替えることが可能

視聴可能者はフレッツ光ユーザー
NTTのIPマルチキャスト網を利用するためフレッツ光ユーザーを対象にしたサービス。マルチキャストに制限することで、逆にこの高画質を実現できたとのこと。

まとめると、YouTubeとは違いインターネット回線を使ったテレビ放送サービスで無料で楽しめチャットもできる、といったところでしょうか。

非常に意欲的なサービスではあると思うのですが、好きな製品を生み続けてきたソニーだけに少し疑問に感じたことを書いてみたいと思います。

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キャズムを超えるために、手軽さか、高画質のどちらかに絞ってほしい
高画質で質の高いサービスを目指してユーザーを光フレッツ利用者にせざるおえなかったのでしょうが、そのことがこのサービスが目指していたであろう、簡単な、気軽に楽しめるサービスということから遠ざけてしまっている気がします。

通信環境がユーザーを選ぶだけでなく、視聴には会員登録や設定も必要です。ブログに貼付けたり会員登録をしなくても見られる動画サービスと比較してもこのハードルの高さが気になります。

設定を完了したユーザーがいかに使いやすいか?ということだけではなく、そもそも最初の設定をするためのユーザーの負荷をどれだけさげられるか。理想を言えば会員登録も設定も不要であるにこしたことはありません。

クライアントソフトのインストールが不要であり、Gyaoやヤフー動画のように動画視聴のためにページ遷移がなく、会員登録が不要ということがYouTubeの手軽さでもあり、人気の一因になったのだと思います。

デスクトップに貼るテレビという気軽さは、そこに至る過程まで含めて気軽なものでないと(環境を選ばない、外出先のノートPCでも楽しめる)広がりをうみだせない気がします。

逆にフレッツユーザーに特化して、高画質を売りにし、手軽さや、テレビのような身近さを求めるのではなく、そこでしか出来ないことをとことん追求するという方向性もあると思います。

旭山動物園の北極熊の様子をリアルタイムで高画質で放送したり、サーファーなら気になる波の様子を高画質で放送したり。ソニーの冠番組である『世界遺産』の未公開映像を24時間放送したり。

気軽で高画質なサービスではなく、とことん気軽に、あるいはとことん高画質なコンテンツを充実させるというサービスが最終的には多くのユーザーが体験したいものに繋がるのではないでしょうか。

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無料IPテレビ、チャット、広告という3つの軸
またサービスの説明をきいて気になったのが、無料IPテレビ、チャット、動画広告と3つの要素が 中途半端にからみあっていること。

例えば、シリコンバレーのベンチャーなどであれば、YouTubeなどの動画サービスに対してチャットができるようにする勝手サービス、動画広告に特化したサービス開発など、3つの要素をそろえてひとつのパッケージとして提供するよりは個々の要素に特化したものを追求していくほうが成功確立が高いのではないかと思います。

広告配信システムなどは、技術そのものよりもクライアントネットワークにより十分な広告出稿が見込めることが重要であったりしますし、ソニーが全ての要素を揃えるよりは、逆にひとつに絞ってそれを追求していくほうが面白い結果が見られる気がするのは私だけでしょうか。

チャット、広告など全ての要素を平均的に改善していくのではなく、ソニーらしい斬新な概念を実現させるために取捨選択のはっきりとしたサービスが見てみたいです。
 

少し厳しめの感想になってしまいましたが、ブロガーMTG開始時点で説明のあった、

市場自体がシュリンクしていては、その中でシェアをとってもしょうがない。
ソニーとしてはビジネスを大きくしたい。
新しいドメインを持つというのがひとつの方向性。
そこからビジネスの芽をみつけていきたい。

という言葉が非常に印象に残りました。そんなソニーの手がけるこのプロジェクトが今後どんな展開を見せていくのかを楽しみにしたいと思います。

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