Sunday, December 9, 2012

電子書籍へとシフトするために困ったこと:デジタルだからこそ共有しにくいという矛盾

今年は楽天のKobo Touchに続き、アマゾンのKindleも日本で登場し、電子書籍が話題となっています。

年末に近くづくにつれ部屋の掃除や荷物の整理を始めていくと本がかなり場所をとっていることに気がつきます。これから書籍を購入する際は電子書籍が最初の選択肢となっていくのは間違いないでしょう。

ただ「家族で本を共有」することを考えてみたとき、既存の電子書籍ではそれがかなり厄介なことに気がつきました。


例えば、あなたが家族で楽しむためにある漫画を全巻買い揃えたいとします。
- 子供と一緒に読むために「藤子・F・不二雄のSF短篇全集」を買いたい
のだとしましょう


紙の書籍の場合であれば、場所はとりますが何の問題もありません。

ところが電子書籍でこれを行おうとすると厄介なことになってきます。

Kindleで漫画全巻を買い、それを家族で共有するとします。

そのKindleの中にはあなたが買った他の本も全て入っており、あなたが他にどんな本を読んだか、そうした本をあなたがどこまで読んだのか、マーキングしていれば、どんなところにマークしたのか、という情報も全て見られてしまうことになります。

読書というのは個人を見つめなおす行為ですから中には他の人に読んだことを知られたくない本や、読んだことを知られたくない内容が含まれている本が家族といえどあるのではないでしょうか?

セクシャルな表現を含むものだけでなく、社会の暗部を描くようなノンフィクション作品であれば、小さな子供には読ませたくない、と思う人が多いでしょう。


そうなると自分が利用している電子書籍端末は家族といえど、他の人には渡せないということになります。端末はもちろん、自分が利用しているアカウントも同様です。

端末やアカウントを家族と共有するのではなく、必要な書籍データだけを家族向けの他の端末にダウンロードできればいいのですが、Kindleは完全に個人のアカウントと同期されてしまいますので、それができません。

紙の本であれば、個々の書籍を貸したり共有できるのですが、電子書籍の多くのサービスでは全ての本が個人のアカウントに紐づけられており、個々のコンテンツを切り出して他者に貸すことができないのです。


家族向けに別のアカウントを専用につくり、そこで家族全員が共有していいものをそれぞれが購入するというのが、ひとつの解決策となりそうです。

但しこの場合も、個人のアカウントと家族のアカウントを切り替えて利用するという煩雑さが生じたり、家族で共有するために専用で別の電子書籍端末を用意することが必要になります。また例え共有していいものでも、家族の他の人に、誰がいつ、どんな本をどこまで読んでいるかを見られてしまうのはちょっと嫌だな、と感じます。家族で共有していいアカウントといっても、家族全員では嫌だけど兄弟なら共有してもいいと感じるもの、夫婦では共有していいけれど子供には共有したくないというものもあるでしょう。(つまらないことでも共有したくないという情報は結構あると思います。例えば、ドラえもんで、しずかちゃんの入浴シーンで読書が止まっていたとしたら、家族でもそうした情報が共有されてしまうのは・・・・ちょっと微妙だったり)


デジタルだからこそ、共有しにくかったり(貸し借り)、共有したくないことが派生するというちょっと困ったことが出てきますね。

家族間でうまく電子書籍を共有しつつ、個々の読書情報が共有されず読書に集中できるような仕組みが今後必要になってくるかもしれません。(もしくはこうしたデメリットを踏まえた上で割安な価格を電子書籍に対して適用するか、ですね)


自分の家族、子供にも残していきたい漫画の名作を電子書籍で買い揃えていくことを考えていたのですが、それほどすんなりとはいかなそうです。


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