Sunday, October 28, 2012

スゴ本オフ「早川書房×東京創元社」に参加してきました #btc1028

スゴ本オフ、今回は「早川書房×東京創元社」というテーマ。



今回、僕が持っていったのはこの3冊の組み合わせでした。

キャプテンフューチャーシリーズは現在、東京創元社から出ていますが、1970年代半ばは早川書房から出版されていました。

この作品を知ったのはフランスにいた頃のアニメ版でです。東映アニメ制作で日本ではNHKで未来少年コナンの後に52話が放映されていたようです。音楽はあのルパンシリーズで同じみの大野雄二が手がけています。私が観たのはフランス語版ですね。現地でのタイトルは「Capitaine Flam(キャピテン・フラム)」オープニングテーマ曲が日本のものとずいぶんと違います。



こちらが日本語版の主題歌

この頃からフランスでは多くの日本のアニメが放送されていて、今でも欧州で絶大的な人気のある松本零士のキャプテンハーロックやガッチャマンが人気でした。

このキャプテンフューチャーシリーズを観たのはキャプテンハーロックやガッチャマンを観た後です。ハーロックやガッチャマンももちろん好きだったのですが、宇宙空間を古色然とした帆船型の宇宙船が登場するハーロックや、クチバシみたいなバイザーがついたガッチャマンと比べると、このキャプテンフューチャーがはじめて接するハードSFの世界でした。

この作品に出会って初めてSFという世界を知った、そういっていいくらいのインパクトがありました。

このキャプテンフューチャーは、主人公のキャプテンフューチャーであり科学者にして冒険家であるカーティス、空中に浮かぶ培養カプセルの中で脳だけが生き続けている科学者のサイモン、アンドロイドのオットー、人造機械人間のグラッグが活躍するスペースオペラの冒険活劇。分かりやすいくらいキャラクターが立っていますw。

1回で1話であったり、常に続いていくシリーズものが普通であったアニメシリーズの中で、このキャプテンフューチャーは30分×4回で1話を描くという構成になっており、重工で骨太な作品だと子供ながらに感じました。

また毎回、毎回太陽系を中心に様々な星を宇宙船コメット号に乗ってお決まりのメンバーが訪れて活躍するというシリーズ構成は、まるでロードムービーを観ているような、宇宙を旅するという憧れを想い起こさせるものでした。

このアニメシリーズですが実は日本ではDVD化されておらずフランスでのみDVD化されています。eBayでも販売されていなかったりするので(フランスではeBayはそれ程定番のサービスではないので)、楽天が買収したPriceMinisterのサイトで購入しました。ところが、この時PriceMinisterでは配送先として選べる国が欧州やアメリカなど一部の国だけで日本は選ぶことができなかったんですね(今では日本も選べるのかもしれません)

そこでアメリカで個人輸入をする人向けに荷物を転送してくれるサービス宛にPriceMinisterで購入したDVDを送り、さらにそこから日本へ転送してもらって受け取りました。DVD7本全52話が大体15ユーロ、2000円もしないくらいの価格で販売されています。それにプラス送料で5000円もしないので、好きな人であれば買ってみて損はしないと思います。フランスのDVDは日本のNTSCとは映像方式が異なるPAL版ですがリージョンコードは日本と同じ2番ですのでPCのDVDドライブを使えば日本でもそのまま観ることができます。

ただこのDVDに含まれている音声はフランス語のみで、日本語音声が入っていません。権利の関係なのか、日本ではそれ程人気が出なかったからなのか、キャプテンフューチャーのアニメは日本ではDVD化されていないので、現在唯一手に入るのがこのフランス語版のみです。

それでもこのアニメシリーズは、原作を元にかなり忠実につくられていますので早川書房か創元社から出ている原作の翻訳版を読めばフランス語がわからなくても映像と一緒に楽しむことができます。そうした意味でもおススメしたい文庫本です。Wikipediaの「キャプテン・フューチャー」の項目でアニメの何話が原作のどの話にあたるのかが紹介されています。

また2004年からでている創元社版では魅力的な美少女が登場するSF漫画で知られている鶴田謙二さんがカバー絵と挿絵を描いていますので、そこも見所です。鶴田謙二さんが描くジョアンという美少女キャラクターはアニメ版とかなり違いますし、他のキャラクターも鶴田流に描かれていますのでアニメ版と比較してみるのも楽しみのひとつ。



鶴田さんも中学生の頃、キャプテンフューチャーの読者だったようですね。(鶴田謙二〈キャプテン・フューチャー全集〉完結にあたって[2007年1月])同じく創元社から鶴田さんによるキャプテンフューチャーの画集も出ていて下記のサイトでサンプルをチェックすることができます。


そして今回、原作を読んでみて改めて感動したのが、巻頭に入っている宇宙船の断面図です。

ここにアップしたかったところですが撮影する前にスゴ本に出してしまったので、関連画像で。


こちらの宇宙船の断面図が巻頭に掲載されています。子供の頃に、こうした宇宙船や兵器ものの断面図をみてワクワクさせられた人も多かったのではないでしょうか?コメット号の断面内部図はなかなか良くできていて、こうした設定がしっかりとしていたことがアニメ作品にもリアリティーを持たせることに繋がったのではないかと思います。

アニメ版のコメット号は映画「2001年宇宙の旅」とスターウォーズの影響を受けてこんな形になっています。


小さい頃、このような断面図でワクワクさせられたのがタンタンの月へと向かうロケットでした。



ということでタンタンの「めざすは月」も一緒に紹介してみました。この本が刊行されたのが1953年であるにしては、びっくりするくらい宇宙船にリアリティーがあると感じさせられます。

こうして子供の頃のSFへの憧れを鷲掴みにされたのがキャプテンフューチャーシリーズ。その翻訳原作が早川書房から出版され、2004年に鶴田謙二のイラストで東京創元社から蘇ったということで最初の一冊としてまよわず選びました。ちなみに翻訳をされた野田昌宏氏によるキャプテンフューチャーシリーズのオリジナル作品『風前の灯! 冥王星ドーム都市』が野田氏が逝去されたの同じ2008年6月に出版されています。

野田昌宏『風前の灯!冥王星ドーム都市』あとがき[2008年6月]

翻訳者が翻訳されたシリーズのオリジナル作品が出るというのはすごいですね。訳者が一番の大ファンだったということではないでしょうか。こちらはまだ読んだことがないので、一度目を通してみたいと思います。


子供の頃から強い想い入れがあった作品だったので長々と書いてしまいましたが、今回のスゴ本でもいろいろと読みたい本に出会うことができました。

「星を継ぐもの」は何度も名前をきいていいても、読む機会が得られていないので一度読んでみないといけないですね・・・。

今回のスゴ本オフで交換で、「産業士官候補生」、「バイド・バイバー」、「必然の結末」の三冊をいただいてきましたのでまずはこの3冊をじっくりと楽しみたいと思います。




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