Monday, November 7, 2016

ニコ技シンセン深圳観察会に参加してきました

先月、ドバイでの展示会の帰りに、深センに立ち寄ってニコ技シンセン深圳観察会に参加してきました。

深センは会社のメンバーが工場に訪問をする機会が多いのですが、僕のほうは海外での営業やマーケティングが主業務のため、展示会にいくことやお客様に訪問することはあってもなかなか工場にいく機会はなかったりします。

高須さんのメイカーズエコスシステムという、深センのモノづくりの状況を紹介した本がとてもおもしろかったので、ずっと気になっており、ドバイからの帰りにちょうど香港をこのタイミングで寄れたので、運良く深センにも足を運ぶことができました。

メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (NextPublishing)メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (NextPublishing)
高須 正和

インプレスR&D 2016-04-22
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台風が香港到着直前にきていたことから、深センメイカーフェアが順延となりましたが、一日だけ参加してきました。訪問したのは、上記の本の中でも登場するSeeed、ジェネシスそしてNXROBOとMakeblockの4社です。

最初に訪問したのは、ホーム用ロボットを開発しているNXROBO社。(http://www.nxrobo.com/)


オフィスにいるメンバーはまだ10名ほどのスタートアップらしい雰囲気。


このNXROBO社のホームロボット、BIG-iは家の中を動き回り、音声認識で家電を操作してくれたり、玄関へ移動して訪問者の情報を伝えてきれたり、とコンシェルジュ的に働いてくれるロボット。廊下でデモンストレーションを拝見させていただきました。BIG-iはKickstarterで19万ドルを集めています。

BIG-i: The First Personalized Family Robot

一般に販売されるときの価格は約1000ドルほどになるようです。



CEOの林天麟(LAM, Tin Lun氏)。様々なロボットを作り続けてきて、このNXROBO創業に繋がっています。


NXROBO社のオフィスはこの南京大学の深セン研究施設の中。深センの科苑駅周辺は、こうした各地の大学の施設が集まっていて、R&Dの拠点にしていこうとしているようです。

次に、Seeed社のAgile Manufacturing Centerを訪問しました。


Seeedは、10枚ほどの簡単なプリント基板であれば、9.9ドルから発注できるようにしたサービスで世界中から注文を受け付けており、こうして受け取った注文の中からオープンにしてもよいと許諾を得たデータを他のユーザーに対してもオープンにしています。

また需要が多い基板はSeeedが製品化していて、それを自社のサイトで販売しています。

Seeed Studio

僕もこの訪問する前に深センMaker FaireのSeeedブースで展示されていたAruduboyという超小型ゲーム機が気になっていて、これはちょっと買ってみようかなと思っています。




深センMaker FaireでのSeeedブース。


こちらがArduboy。ものすごく小さい。そしてとても薄いです。お値段は49ドル。

Arduboy


こうした製品を日々作り出している工場の中をViolet Suさんの案内で見学させていただきました。


工場内での服装ルール。今回訪問した工場では、どこでもこうした規則がしっかりとしていました。


作業されている工場スタッフは、かなり若い方が多かったです。15歳から仕事を始めている人も珍しくなく、日本で大学生が卒業する年齢には、すでに7年の経験を積んでいるという若手ベテランスタッフも珍しくないのだそう。


スタッフの方は、このスツールに座ってずっと作業をされていました。この椅子で長時間作業するのはちょっと大変じゃないかな、とちょっと心配。

三件めは、深センを代表するハードウェアスタートアップとなり、深センを拠点とするハードウェアアクセラレータHAXが支援する会社の中でも1位を争う成功事例となったMakeblockのオフィスを訪問しました。

Makeblock


Makeblock社はこのオシャレなオフィスビルの中。UCバークレーも参加している場所のようで、建物の名前Tsinguhua-Berkeley Shenzhen Instituteと共にUCバークレーの学章も入り口に掲げられていました。


Makeblockはこの手前のmbotというトイロボットで有名になった会社。この製品の存在は私も知っていたのですが・・・



ドーンと、拡張パーツが充実していて、どれも安価で提供されています。こんなに自由度が高い拡張パーツが充実したシステムを形成していたとは。


こうしたパーツを使って、3Dプリンタも作れちゃいます。


参加者もみんな、すごく楽しそう。これをみて興奮しないガジェット好きはいないですよね。


Makeblockの試作品が作られたりするスペース。


社員の通勤自転車もコーポレートカラーのブルー。


執務スペースもとてもオシャレです。


珍しいピンク色のmBotもいました。


高須さんに説明いただいてわかったのですが、このビルのエントランスフロアに並んだこの箱、お弁当宅配専用の受取ロッカーなのだそうです。

最後に、深センでメーカーやスタートアップ向けに工場を製造受託をされているJENESISさんを訪問しました。

JENESIS



こうした様々な製品を製造されています。特に日本のお客様で、もう中国での製造を諦めたところ、最後の頼みの綱としてジェネシスさんにお願いされるお客様も多いのだとか。弊社(Cerevo)も、主にCerevo CAMの製造などでいろいろとお世話になっています(私がCerevoに参加する前のお話)。


こちらの工場は、Seeed社の工場以上に整理されていてきれいです。



この工場の椅子はこのプラスチック製のスツール。こちらのほうが木の椅子よりは楽そう。工場の椅子がスツールなのには何か理由があるのかもしれないですね。この疑問については、質問し損ねました。


ジェネシスさんの工場では、中国の他の一般的な工場の、とにかく出荷してしまおうという姿勢とは違い、なるべく不良品を除く、という姿勢でいて、通常は製造直後にQAをするところ、高温多湿という環境で長時間動作を行ってから、QAをするのだそうです。一定時間動作したあとに出てくる不具合はこうしてあらかじめ一定の負荷をかけてからテストすることによって弾いているのだそう。


こちらが製品テスト中の様子。かなり人数を割いて、力をいれてやられているのがわかります。


こちらの箱に入っているのは部品なのですが、中国のダンボールはホコリっぽく、ケバがでやすいので、ホコリが工場内に混入しないよう、別のスペースで保管、開梱しているのだそう。


工場内の掲示板には社員旅行の写真が貼ってありました。ホワイトカラーとブルーカラーのスタッフが仲良くなることにも役立っており、収入の多くを仕送りで地元におくってしまう工員にとっては、自分のお金でなくても遊びにいけるこうした機会は好評だそうです。

この後、参加者の皆さんで飲み会に。

翌朝の香港のフライトでの帰国だったので、飲み会の途中で失礼させていただきました。またぜひ参加したい会です。再見!