Sunday, March 6, 2016

メルカリは(アメリカで)キャズムを超えて広がっているのか?

先日、メルカリは本当に「世界を取る(かも)」と思った件という記事がnoteに掲載されていたので楽しく読まさせていただきました。

かなりシェアされているようで読まれている方も多いようです。

ただちょっと見過ごせないかなと思った誤りがあったのと、その後、記事の修正や追記もとくにされないようなので、ここで指摘をしておきたいと思います。

こちらの記事は、
アメリカで700万DLもいっているのに、周りのひと誰もしらない
→キャズム越えてマジョリティにひろがってる
という仮説をもとに書かれていますが、そこはちょっと乱暴かな、と思いました。
(本人も客観的に書くというルールで書いた記事ではないと冒頭で説明されているのですが、読者に誤解を与えてしまう書き方となってしまっているかな、と思っています)

もちろんそうかもしれないけれど、そうじゃないかもしれない

日本ではキャズム越えてると思っていますが、アメリカでも越えてるかは外部からは窺いしることはできないかな、と。

DL数はお金で得られる部分もあるし、DLされたからといって利用されてるかはわからない。もちろんされてるかもしれないけどこのデータだけではわからないわけです。

アメリカでも日本と同じ施策なのかわかりませんが、友達招待すると300ポイントもらえるというのは、自然ユーザー増加に繋がる一方で、ポイント目的の偽ユーザーによるダウンロードをうみだしやすいところがあり、海外のほうがその傾向が強くなると、以前アプリビジネスに関わっていて感じています。

メルカリがすごいのは、ダウンロードを通常、広告費をかけて獲得するところ、この仕組みによって外部に依存せずユーザー獲得ができるようにしたことと、そこでしようしたコストも、内部での取引増加につながり、一部は自分たちのところにも戻ってくるし、そのキャッシュアウトが生じるのもかなり先になるということだと思ってます(すごいところのごく一部ですけど)

もちろん柴田さんが書いているように意図的にIT業界の人にはリーチせず、ダイレクトにユーザーを確保しようとマーケティングしようとしていると思うので、そこもすごくメルカリらしいところなんだろうな、と思います。

一般的にDL獲得コストであるCPIが300円切っているのはなかなか良い数字で(海外も300円相当のポイントなのかわかりませんが)、それがキャッシュアウトがあとに生じ、売上の呼び水にもなるのであれば、かなり割安な施策ということになります。

アプリのダウンロード数がなければ、当然利用する人もいないわけで、アプリのダウンロード数というのはひとつの目安となります。ただ、ダウンロード数が多いことは、そのまま利用されているという証明にはなりません。このあたりはやまもちいちろうさんが詳しく記事に書かれていたりします。

グノシー他、AppBank「モンスト攻略」ブーストでアプリダウンロード数を水増し

(上記の記事はダウンロード水増しについてはちょっと否定的ですが、個人的にはダウンロード数を広告で獲得するのは企業のマーケティングとして必要な努力であり、その戦略についてはニュートラルにとらえています)

柴田さんもメルカリの中のひとも知人ということがあり、書きにくい部分もあったのですが、僕から指摘がなくても誰か他から同じ指摘があるかな、ということとごくたまに僕もメディア側の人ということで記事も書くので、ここは実際のところは客観的にはわからないんじゃないか、と思って書いてみました。(メルカリにとっても期待値があがりすぎるのもプラスではないだろうし)

また「DL数が多くて、僕が知らないから、キャズムを超えてマジョリティーに広がっている」という考え方は、「そうかもしれない」であって、そうなんだ、と考えてしまう人が増えてしまうのはよくないので、バグはバグとして指摘しておき、今後はそういったバグが広まってしまわないように、指摘してみました。(もちろんDL数はひとつの指標にはなりますけどね)

元記事は他のメディアでも転載されていたりするのですが、メディア側がそうした知識を持っていれば、単純に転載するだけでなく「ここは、ちょっとおかしいんじゃないか」と指摘ができるようになるので、そうすることがメディア側にとっては責務であり、業界を正しく発展させてく上でも必要なことではないかと思っています。

(余談ですが、先日妻に、ヤフオクを使うのは面倒だろうからメルカリを使って不用品を処分してもらおうかな、と「メルカリをダウンロードしたら?」と教えようとしたら「バカにするな、もう使ってるぞw」と言われてしまいましたw)